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2011年10月9日 静岡県技能競技大会 板金 [静岡ポリテクセンター] DIGEST 板金の技能競技大会が行われました。大会はAコースとBコースがあり、難易度や制限時間が違います。また、出場選手の年齢層も幅広く10代〜40代です。普段とはちがう大会での張りつめた空気に圧倒されながらも、落ち着いて課題作品に取り組む選手たち。採点は、作品の完成はもちろん、スピードも要求されます。制約のある中、選手たちが課題作品をどのように仕上げていくかが楽しみです。
板金とは
板金は、我々の生活の中で、必要不可欠な職種です。屋根、外壁、金物工事など多くの場所で板金の仕事は必要になってきます。

板金は、平面の板材から、立体の製品を制作する一連の作業で、材料の選択、切る、叩く、曲げる、繋ぐという、工業製品の制作に必要とされる広範囲な作業内容が含まれており、幅広い知識と高い技能が要求されます。

新しい製品ををつくりあげるには、作業者の創意工夫と長年の技術、経験、完成が必要になってきます。一朝一夕で技術は習得できません。機械加工が多く出回っていますが機械加工だけでは制作できないものもあり、必然的に手作業による板金加工技術の分野が拡大され、優秀な技能者もますます必要とされています。
緊張感のなか
Aコース(実務経験5年未満)の制限時間は3時間、課題作品は「ちり取り」です。一方、Bコース(実務経験が5年以上)は制限時間は3時間30分、課題作品は「水さし」です。今回の参加者は合計13名。
採点は、両コースとも課題作品の「完成度」はもちろん、出来上がりの「スピード」も重要項目となるため、仕上がりと共に早く仕上げた選手が優位となります。採点は、設計図通りの寸法にできているか、歪みなどはないか、など審査員の厳しいチェックがはいります。また、「道具の使い方」や競技中の「姿勢・態度」も採点に含まれてるので、競技中は気がぬけません。

Bコースの課題作品は「水さし」です。当然、水もれをした場合は失格です。ほか、ハンダコテを使って金具を接着する際に、ハンダがきれいにつけられているかなども厳しくチェックされます。
競技開始直前に課題作品の設計図が配布されます。
設計図は、素人ではとても読解できない難解な記号や数字などが記載されています。選手たちは、各自決められた作業場所で一斉に開始です。課題作品は、完成品の「うつくしさ」だけでなく「スピード」も要求されるので選手たちは、瞬時に自分の作業工程・時間配分を判断し作業を進めていきます。この判断力こそが、大会に向けて培ってきた日々の技術、技能が試されるときです。選手たちの真剣な眼差し、表情がすべてを物語っていました。

試験官の方へAコースの平均年齢をお伺いしました。選手達の年齢層は若く出場者のほとんどが10代です。実務経験年数は約半年から一年半。選手のなかには、静岡県技能高等学校へ通っている生徒もいるとのこと。若い選手のみごとな「手さばき」を見ていると、とても経験年数が浅いとは思えないほどです。
板金職人の思い
試験官でもあり、技能高等学校で指導をしている方に競技大会とこれからの板金業界についてお話をうかがいました。
「選手が積極的に大会へ参加をして、自分の“技”を試す気持ちになってくれることがとてもうれしいです。このような機会を利用して、更に板金の技術を向上させたいと感じ、“職人”として育ち、いつか技能学校の講師として戻って来て欲しいです。そして、板金の技術を次の世代へと伝承していってほしいです。自分が若い頃と比べれば作業効率もよくなりスピードも上がりましたが、その分、職人のひとり一人の板金の技術レベルが落ちているようでもあります。今回のような課題作品を現場で作ることはないのですが、道具の使い方だったり、作業の細かさは必ず現場で必要なことがらとなります。技能競技大会に参加することはスキルアップにもつながります。これからも、より多くの職人に参加してもらい、一人一人の技術を上げて大会も盛り上げて欲しいです」とこれからの「ものづくり」業界を担う選手たちへ熱いメッセージを送っていました。
Bコースは、Aコースより難易度が高くなっています。課題である「水さし」の製作過程で「丸み」をだす部分があるのですが、難しい部分です。「水さし」のアール(曲線を描くこと)をつくるのに鉄パイプの丸みを使って平らな銅板からきれいな曲線を作ります。円はきれいに歪みなく作らなければいけません。力の入れ方や細かい角度調整が必要になってきます。選手たちは、丁寧にゆっくりと、形を細かくチェックしていきます。
次にハンダコテを使い各箇所のパーツを1つにつなぎ合わせて「水さし」の形を形成していきます。「コテの温度、ハンダの量をうまく調節しなければ、うつくしい作品にはなりません」とベテランの職人さんは言います。色々な部分で高度な技術が要求されているようです。

作品を出し終えた選手達からは「緊張しました。作品の出来はあまり納得していません」と会場の張りつめた空気のなか、本来の実力が発揮できず悔しがる声も。

業界の明るい未来へ向けて、更なる選手の向上心、チャレンジ精神を願う。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   今日の作品の出来具合はどうでしたか?点数をつけるとしたら? Answer ・今日の満足度は100点です。楽しかったです。
・「ちり取り」のハゼを曲げる位置が少しずれてしまいました。点数をつけるとしたら、50点です。
・思うように作業が進まず、作品の出来も満足していません。点数をつけるとしたら、70点です。
・昨年参加したときは、スピードが遅く時間配分がうまくできなかったが、今年は思いのほか早くできました。でも点数をつけるとしたら、70点位ですね。
Question   これから、どんな職人になりたいですか? Answer ・みんなに認められる責任ある職人になりたいです。そして、責任ある仕事を任せられたい。
・常に仕事のクオリティを高く保ち、仕事に対する意識も高くいられる職人になりたいです。
・欲をかきすぎず、常に感謝の気持ちを忘れず、相手が望んでいる以上の気配りができるような職人になりたいです。
静岡県技能競技大会
静岡ポリテクセンターで開催された板金の技能競技大会の様子
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