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婦人服仕立て 亀山 泰子  かめやま やすこ [ウサギヤ洋装店 匠工房] ものづくりは人づくり ギリシャ・ローマ建築では、建物の柱の様式のことをオーダーと呼びます。基礎・柱身・柱頭などの組み合わせと、お互いの比例・装飾などの関係です。最適な機能と美を兼ね備えた柱をつるためです。オーダーメードの服も、機能性はもちろんですが、その人の個性や体形、生活スタイルが考えられているからこそ、スタイリッシュで着心地よく仕立てられるのでしょう。オーダーメードのよさです。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和15年2月24日
出身地……旧静岡県清水市
所在地……[ウサギヤ洋装店 匠工房]静岡市清水区清水町5-16

高校卒業後、学校法人杉野ドレスメーカー女学院に入学、師範科を卒業して久保田ドレスメーカー女学院に教師として入社、昭和36年(1961年)ウサギヤ洋装店の長男に嫁ぎ、婦人服仕立て職につく。

◆昭和60年(1985年) 静岡県優秀技能者 県知事表彰
◆平成04年(1992年) 厚生労働大臣「現代の名工」として卓越技能章受賞
◆平成07年(1995年) 黄綬褒章受章
◆平成20年(2008年) 静岡県技能マイスター認定(愛称・しずおかの匠)
「現代の名工」とは
卓越した技能者表彰制度に基づき、厚生労働大臣によって表彰された卓越した技能者(卓越技能者)の通称です。
卓越した技能者表彰制度は、技能者の地位と技能水準の向上を図るために、昭和42年(1967年)度に設けられたもの。表彰を受ける者は、都道府県知事や事業者団体などの推薦を受けた候補者の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いた上で、厚生労働大臣によって決定されます。

・・・・・婦人服仕立てとは・・・・・
お客様のご要望により婦人服を仕立て上げること。
お客さまを知る
何気ない会話でも、暮らし方や考え方、ものの見方が端々に出てきます。亀山さんは、洋服を仕立てる前に、お客さまとよくコミュニケーションを大切にします。「お客さまのことをよく知ることが大事です」。お客さまを「知ること」のなかには、体形だけではなく、生活習慣、癖、好ききらいなど、その方の全体像です。お客さまの中には、はっきりしたコンセプトを持っている人ばかりとは限りません。会話をしながら、お客さまの希望を引き出していきます。

「いつもお客さまのご希望に合った服を作る事にこだわっています」。オーダーメードだから、当たり前のことですが、職人は当たり前のことを当たり前にこだわり、そして、少しでも当たり前の域を超えたものを目指しています。
観察する
左右の腕の長さが違う人、左右の肩の張り具合が違うなど、人の体形は個性そのものです。一人として同じ人はいません。お客様が欠点と思われる箇所をカバーして個性を際立たせる、それがオーダーメードの良さです。体形に合わせた着やすい服、言うのは簡単ですが、なかなかそうはいきません。お客さまの体のサイズを測りながら「いちばん体に合ったフィット感を見極めます」亀山さんは観察します。オーダーメードでは「これくらい」というアバウトはありません。亀山さんが見極めようとするのは「フィット感」です。しかし、これは一朝一夕で出来ることではありません。長年の経験と技術が必要です。

ふくよかな女性が、タイトなデザインの服を希望する場合があります。
どうしたら体のラインが自然に隠れて、服は窮屈にならずにタイトさを表現できるのか?亀山さんは、この相反する事柄を矛盾なく調和させて、いかに着やすい服を仕立てるかが仕事のおもしろさだと言います。
自分とおなじ生きがいとやりがいを
「いまのお店に嫁つぎ、私を仕込んでくれた母から、様々なことを教えていただきました。デザイン、仕立て、そして、お客さまが望んでいる以上のプラスアルファを付け加えて、かたちにする事」「急な注文で納期が短い仕事でも、必ず納期通りにお渡しする事」が職人だと叩き込まれ、仕事に対する向き合い方など生活の全てを学ぶことができたことを今でも感謝しています。

こういった経験があるからでしょうか、技能五輪を通して静岡市の服飾関係の専門学校の生徒達が工房を訪れるようになりました。技術はもちろんのこと、婦人服仕立ての職業としての誇りやおもしろさを教えています。同じ道を選んだ若い人達に、自分と同じ生きがいとやりがいを持って、この仕事に取り組んでほしいからです。
「ほんとうに自分の孫のよう」と、布地に落とす時の目とは打って変わって、穏やかでやさしいまなざしになりました。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 私は戦後の何もない時代に育ちましたから母はいつも子供達の服を作ってくれました。私はその様子を側で見ているのが好きでした。昭和28年、ディオールが初来日し、一気にファッション界の関心が高まり、書店の店先にはディオールの作品が表紙を飾っていました。昭和30年頃、高校生の私は洋服作りの魅力に惹かれており、アッという間にディオールの世界の虜になっていきました。自分でも流行の洋服を作ってみたいと夢を持ち、高校卒業後上京し洋服の基礎を一から杉野先生の元で学びました。
Question   この仕事につくためになにが一番必要だと思いますか? Answer 人柄でしょうか。たとえば、丁寧さや気配り、そして根気よく突き詰めることが本当に大事になってきます。洋服を仕立てる為に納得のいくまで、妥協をしないで突き詰めること。そして、ダーツ一本、ポケット一つでもデザインのバランスや着やすさなど、様々な角度から考える事が大切です。作品にはそれを作る人の人柄がそのまま表れます。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer 自分の仕事を喜んで下さるお客様がいることですね。
お気に召した様子をお手紙に書いて下さる方やお喜びの写真を送って下さる方もいます。そして周りの人達にも紹介していただきながら自然と人の集まりが出来ました。また、技能五輪に参加したい学生達が学校の放課後、指導を求めてやって来るので少しでも自分の技術を伝えてあげられる事も楽しみです。そして一番有難く思っていることは、私の仕事の全てを支えて下さる人がいることです。
Question   ≪作品のご紹介≫ Answer 気軽なお出かけに
亀山さんがすわっているうしろのボディーにかかっていた一着です。気軽なお出かけに「ちょっと着てみようかしら」と似合いそうです。すっきりとした胸元のライン、ワンポイント・アクセントの一つボタン、さわやかなオーダーメードです。この服を着ると、背筋が自然にのびて、軽快に歩いてしまいそうです。元気な奥さまが、着こなしを気にせずに、さっそうと歩く姿が目に浮かびます。
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