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表 具  永田 公一 ながた こういち [永田表具店] 心地よさを求めて 利益を第一に考えるのではなく、「お客さまが心地よくなってもらいたい」自分が手がけた表具によって、居住空間の環境を快適で潤いのあるものにしたい。永田さんは、このことをなによりも先に考えて、表具を仕立てています。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和19年(1944年)10月25日
出身地……静岡県焼津市
所在地……[永田表具店]焼津市中里718-19

・中学卒業後、東京都世田谷の西館表具店に弟子入り、22才で静岡県焼津市に独立開業
・昭和45年(1960年) 永田表具店を設立

◆平成13年(2001年) 静岡県能力開発協会会長 感謝状
◆平成15年(2003年) 静岡県技能士連合会 優秀技能士表彰
◆平成16年(2004年) 社団法人全国技能士連合会 会長表彰
◆平成18年(2006年) 静岡県職業能力開発協会 会長表彰
◆平成21年(2009年) 静岡県知事褒賞
全技連マイスターとは
全国技能士連合会が、職業能力開発促進法に基づき実施されている技能検定制度の特級・1級又は単一等級の試験に合格した技能士で、20年以上の実務経験と優れた技能及び活動実績を持ち、後進の育成並びに技能の伝承に熱心な技能士であると認定された方です。また、全技連マイスターが単なる名誉的な称号ではなく、現役として後進の指導などの活動に積極的に対応できることが重要な要件であることから、5年毎に更新を行っております。

・・・・・表具とは・・・・・
表具とは、布や紙などを張ることによって仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など。または、それらを仕立てること。表装(ひょうそう)とも言う。表装を職業としている人を表具師(ひょうぐし)または経師(きょうじ)という。表具師の主な仕事内容には、掛軸、屏風、衝立、額、画帖、巻物などの修理をはじめ、襖の新調、張替、障子貼りなども含まれる。
基本は大切
表具の仕事の基本は下張りです。襖(ふすま)の骨組みとおもてに貼る紙のあいだに、もう1枚紙を入れる作業です。いわば襖の下地です。永田さんは「下張りが、表具の仕事のすべての基本です。すべてにつながっていきます」と言いました。下張りは仕上がってしまえば、見えません。ここがしっかりと仕上がっているかどうかが、出来栄えを左右します。永田さんも3年ほど、みっちりこの下張りを修行しました。「襖1枚すべてを仕上げてもいい」と言われたのはこのころからでした。それでも、障子はそれから、あと2年、5年たつまでは手がけてもいいとの許しが出なかったと言います。だからこそ、ピリッとどこにもシワや歪みなく貼られた真新しい障子のすがすがしさは、やはり熟練の技が必要なのでしょう。すべてが一目瞭然に見えてしまう障子は「手を抜くところ、手が抜けるところがどこにもない」これは素人でもわかります。

「いろいろたいへんなこともあったけれど、いい修行時代だった」と笑って話してくれました。
難しいことに挑戦する
「難しいことに挑戦するかしないかが、能力を向上させるカギだ」と永田さんは言います。そのために、いまも意識して難しく込み入ったデザインを考えて作品にして、展覧会に出品することもあります。「むかしから人とちがったことをしたがる性分だ」と苦笑いしますが、新しいもの、斬新なものを作り上げることによって、お客さまが喜ぶ新しい新鮮な表具を提供したいと思っているからです。

今の障子紙はロール状になっています。永田さんの修行時代は四角くカットされている1枚1枚の紙でした。これをつなぎ合わせてロールにします。単純作業でたやすいようですが、貼りはじめと終わりの幅が一致しないと、紙はズレてしまい、きれいなロールになりません。これが、なかなかうまくいかず苦労したそうです。

いい住まい環境、新鮮な居住空間、居心地よいたたずまいが、しあわせにつながると思って表具製作に取り組んでいます。それらは、お客さまの立場に立ったとき、どういったことにうれしさを見出すか、仕事の場で常に自分に問いつづけてきたことから導き出した、表具師としての、仕事に対する信条なのでしょう。
環境や健康のことも考えて
糊(のり)は表具に欠かせない材料です。屏風・掛け軸・ついたて・和額・襖・障子、クロス張り、どれにも糊を使います。永田さんが使っている糊は、リラクゼーション効果をかもし出し、臭い消しなどに効果がある物を使用しています。「貼りつけばなんでもいい」「糊なんかなんでもいい」ではなく、お客さまが安心して使える材質を考えてのことです。「もうけは少なくなってしまうけれど、お客さんにとってはいいことになるのかな」と満足顔です。

「ぐっすり眠れるようになった」「臭いが残らなくなった」「壁紙や障子の持ちが、以前と比べて全然ちがう」永田さんのお客さんの反応です。「環境や健康のことを考慮しないのは、いいことではない。いいと思ったことはすぐにやる。悪いと思ったらすぐやめる」表具の仕事のことばかりではなく、何事にも通じることであり、難しい理屈でもありません。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 中学校3年生の夏に、蒔絵師になりたいと思っていましたが、その当時、蒔絵師の多くが窮乏して、職人がどんどんやめていました。それで、東京の叔父の勧めで表具の世界に入りました。弟子入りするまで、表具の仕事はまったく知りませんでした。
Question   この仕事につくためになにが一番必要だと思いますか? Answer 正直なにが必要かわかりません。どの仕事にも共通して言えることですが、「負けん気」ですかね。どんな大変な作業があっても最後まであきらめずにやりぬくことです。それと、多くのお客さまとお話をするのでコミュニケーション能力も必要です。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer はっきり言って、良かったことはない(笑)。自分で納得できる仕事がまだまだ出来ないからね。
でも、この仕事で長い間生活できたことかな。
Question   ≪永田表具店のお客様サービス≫ Answer ◆「ふすまの張り替え」:ふすまの張り替えをする時には、替わりのふすまを持って行き、家の中、押し入れの中などが丸見えにならないようにはめる。

◆「ふすまの縁(ふち)のぬり替え」:新品のような仕上がりになる。

◆「障子の貼り替え」:その日に出来て、届けられる分だけ仕上げる。
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