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時計修理 松下 孝一 まつした こういち [株式会社 安心堂] 時とともに歩む気持ち 多くの人は時計を大事にします。なかでも腕時計は身につける装飾品でもあります。いい腕時計をしている人は、そこから品格さえも感じられます。また思い入れも伝わってきます。松下孝一さんは、修理するとき、持ち主の時計に込めた気持ちに思いをはせます。元どおりにするのは、時計だけでなく、持ち主の気持ちもあわせてのことでしょう。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和14年(1939年)02月01日
出身地……静岡県榛原郡川根本町
所在地……[株式会社 安心堂]静岡市葵区呉服町2-1-9

・昭和29年(1954年) 株式会社 安心堂 入社 技術部 配属
・昭和35年(1960年) 静岡県立城北高校通信制課程 入学
・昭和40年(1965年) 営業販売部門 配属
・平成05年(1993年) 技術部 配属
・平成10年(1998年) 定年退職 嘱託として技術部に戻る
・平成12年(2000年) 静岡市時計組合 副会長

◆昭和40年(1965年)文部大臣賞受賞(文部省認定通信教育、販売課程)
全技連マイスターとは
全国技能士連合会が、職業能力開発促進法に基づき実施されている技能検定制度の特級・1級又は単一等級の試験に合格した技能士で、20年以上の実務経験と優れた技能及び活動実績を持ち、後進の育成並びに技能の伝承に熱心な技能士であると認定された方です。また、全技連マイスターが単なる名誉的な称号ではなく、現役として後進の指導などの活動に積極的に対応できることが重要な要件であることから、5年毎に更新を行っております。

・・・・・時計修理職人とは・・・・・
お客様の思い出の詰まった大切な時計を点検修理する職人。精密部品を扱う高度な技術と共に芸術的なセンスも必要とされます。
なんでも直す。直せないものはない
一人前の時計修理職人になるには、おおよそ10年かかるといわれています。松下さんも、入社して1年間は大きな掛け時計の修理から始めました。2年目から2年間ほどは置時計。5年目ではじめて腕時計を扱うようになりました。大きな時計から徐々に小さな時計に移っていくわけです。時計は精密機械です。そのなかでも腕時計はミクロの世界と言ってもいいほど、緻密です。ルーペをまぶたに押し込んで、腕時計を修理している姿を見ることがありますが、まさに時計修理職人のトレードマークです。

修理はこまかな作業の連続です。とくに時計の心臓部といわれている部品を修理するとき、松下さんは、わずかな手の震えもおこさないように、息を止めているそうです。

安心堂は「なんでも直す。直せないものはない」を社是としています。故障にはかならず原因があります。その原因を正確に突き止め「どんなに細かくむずかしいものでも直す」時計修理職人としては当たり前のことかもしれませんが、松下さんの職人としての心意気です。
持ち主の心を察する
松下さんは、修理に時計を預かるとき、どんな使い方をしているか、時計を一目見れば解り、どう修理すればいいか、見当がつくといいます。もう一つ、時計を通じてお客様を見ます。それは時計に込められている思いです。大事な人からいただいた時計、かけがえのない時計、なにかの記念となっている時計、松下さんは、修理を依頼する人の気持ちを察するようにしています。

修理に持ち込んだ人は、これからも使い続けたいと思っています。その気持ちを大切に修理しています。今の精度を保つ修理か、もっとグレードアップしたいか、定期的な分解修理か、修理にもいろいろありますが、どんな修理にしろ、できるかぎり新品に近い状態で、お客さまに返すようにしています。「息を吹き返した時計が、これからも末永く愛用されて、使い続けられることが、時計修理職人にとって一番うれしいことだ」と松下さんは言いました。
注油
修理の最後の仕上げは、部品に油を注ぐこと「注油」です。
部品の個所や摩擦する頻度の違いによって、油の種類を変えます。この注油が非常に神経を使う工程で集中力が必要な作業です。液体には表面張力が働きます。この表面張力をうまく利用して、油を一滴の露に近い状態にして、少しずつ細かくそれぞれの部品に注ぎ込みます。この注油の仕上げをミスすると、最初からやり直します。分解して掃除して組み建て直しです。各部品のなめらかな作動は注油によるところが大きいからです。「注油は命」修理後の時計の寿命にもかかわっています。

外装の仕上げももちろん手間暇かけます。美しく見せることも大事ですが、それ以上に時計の内部を保護するからにほかなりません。耐久性のある良質の素材を使い、高度な技術で修理します。

安心堂は年間約6,000個の時計を修理しています。月にすると500個ほどになります。これをひとつひとつ丁寧にかつスピーディーに心をこめて修理しています。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 小さい頃から細かい作業が好きでした。一人前の職人になるには10年かかると聞いていましたから、まだ成長過程の十代に修行を始めたほうがいいと言われて、この仕事につきました。
Question   この仕事につくためになにが一番必要だと思いますか? Answer 細かい作業が多いので、根気と器用さが必要です。お客さまの大事な時計をお預かりしていますので、工具も含めてすべてを丁寧に扱えることも必要です。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer 好きな仕事を長年続けられたことです。それと、修理が終わって完璧に時計が動いたときは嬉しいですね。「具合がいいよ」とお客さまから聞くとより一層嬉しくなります。
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