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タイル張り 瀬川 幹夫 せがわ みきお [瀬川タイル] 根っからのタイル張り職人 瀬川幹夫さんは、根っからのタイル張り職人です。お父様がタイル職人だったこともあって、まだヨチヨチ歩きの2歳のころに、タイル張りに使う鏝( こて)が遊び道具でした。小学生になると、待ちかねたように現場に連れていったそうです。『門前の小僧…』を地でいったような瀬川さんを見ていたお父様のうれしそうな顔が眼に浮かびます。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和28年(1953年)6月9日
出身地……静岡県静岡市
所在地……[瀬川タイル]静岡市駿河区東新田4丁目14-20

・高校卒業後タイル職人である父に弟子入りし5年間修行。
・引退にともない23歳で瀬川タイルを継ぐ。

◆平成20年(2008年) (社)全国技能士会連合会 全技連マイスター
◆平成20年(2008年) タイル静岡県技能士連合会 会長賞
◆平成23年(2011年) 静岡県優秀技能者功労表彰 県知事賞
全技連マイスターとは
全国技能士連合会が、職業能力開発促進法に基づき実施されている技能検定制度の特級・1級又は単一等級の試験に合格した技能士で、20年以上の実務経験と優れた技能及び活動実績を持ち、後進の育成並びに技能の伝承に熱心な技能士であると認定された方です。また、全技連マイスターが単なる名誉的な称号ではなく、現役として後進の指導などの活動に積極的に対応できることが重要な要件であることから、5年毎に更新を行っております。

・・・・・タイル張りとは・・・・・
タイルといえば形状は隙間無く敷き詰めるため正方形や長方形など四角形が多いが、不規則な形状のものもあります。材質は一般的に陶磁器製のものを指すことが多い。色彩も様々で、一枚一枚に模様があるものや、色の違うものを多数並べることで大きな絵とする場合もあります。通常、タイルは一枚一枚接着剤・モルタル・金物によって固定され、非常に手間がかかり、施工技術も要求されます。
これらの作業を行う特殊技術をもった人たちをタイル張り職人といいます。
タイルの特殊なものとしては、スペースシャトルなどの宇宙船の外装に使用される耐熱タイルがあります。
父親仕込みのタイル職人
小学生の時、お父様に連れられて現場に行って、水汲みや掃除を手伝い、現場での働きぶりを見ていて、瀬川さんは「おとなになったらタイル張りの職人になる」と決めていた、と言うより自然な成り行きだったでしょう。高校を卒業してすぐ弟子入りしましたが、その時には10種類ほどある鏝は使えたそうです。

お父様は、かつてはレンガ積みの職人でした。日本に西洋建築が入ってきたのは明治になってからですが、いまも東京駅の赤レンガに見られるように、規模の大きな公共建築物の多くはレンガ造りでした。しかし、関東大震災などを経て近代建築が主流になるにしたがって、レンガ造りは廃れていきました。こういった潮流に敏感だったお父様も、レンガからタイル張り職人へと道を変え、技術習得で全国を歩き、やがて静岡に戻りました。静岡県にタイル張りを普及させたのは、瀬川さんのお父様だと言われています。もっとも厳しく技術と技能を教え込んだのが、瀬川さんだったと、容易に想像できます。瀬川さんもまた、それに応えました。
「生きた張り」「死んだ張り」
弟子入りして3年間は、タイル張りの下地のモルタルの混練を徹底的にやらされました。それだけ下地づくりを重要視していたのでしょう。「モルタルを混練した時の色と粘り具合などで判断できるまでには3年はかかる」タイルの剥落(はくらく)・剥離(はくり)を防ぐ下地の大事さです。モルタルづくりが一人前にできるようになって、ようやく「タイルを張っていい」と言われたそうでした。

タイルを張り始めて間もないころ、張り終わったタイルを見て、親方であるお父様が見て「すべて剥ぎ取れ」と強い口調で怒鳴りました。お父様がそのあとタイルを張り替えました。どこがどういうふうにダメだったのか、なにも言いませんでした。また、違いがはじめはわかりませんでした。タイル張りには「死んだ張り」と「生きた張り」という言いかたがあります。おもしろい言い方です。瀬川さんが張ったタイルはただ張っただけの「死んだ張り」でした。お父様の張ったタイルは、タイル一枚一枚のくせを見分け、それにあわせて下地の厚さも変え、すべるように均一な平面に仕上がりです。これが「生きた張り」です。

こういった経験をとおして、瀬川さんのタイルも「生きた張り」になっていきました。たしかに合理的な割付、均一な目地ときれいな目地割は、寿命もながく美しい「生きた張り」です。
石の乱張り
タイル張り職人は、タイルを張るだけでなく、庭や玄関周りなどの石張りも施工することがあります。
この石張りの一つに乱張りという技法があります。石や目地をそろえないで不整形に地面に張り付けていく技法です。

これも、瀬川さんの修行時代の話です。ある日、お父様から、駿府城の石垣を見て、乱張りを勉強するように言われました。瀬川さんは言われるままに、見に行きました。ある個所がとてもいい組み方だと興味を惹かれたので、お父様に報告しました。すると、お父様は「俺もあの場所の組み方は気に入っている」と言ったそうです。瀬川さんは驚くと同時に、やはり父の血を受け継いでいると、あらためて思ったそうです。ちなみに、この乱張りは、張る人の性格が顕著に出ると言われています。瀬川さんは、全体的に流れるようなレイアウトにして、石を置いていくの組み方を好んでいます。自然石の持つ風格や、品性を際立たせたいと思ってのことです。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 幼いころから父と現場をまわっていたので、自分はタイル職人になることしか頭になかったです。他の仕事につきたいと思ったこともありません。そしていま、自分の息子も一人前のタイル張り職人になって現場を任せているのですが、息子のほうが手先が器用で立派なタイル張りをしてくれます。
Question   この仕事につくためになにが必要だと思いますか? Answer 決してらくな仕事ではないので、この仕事を好きになることが大切です。自分がやる仕事にプライドと自信をもつことも大切です。そのためには、タイルや石の性格を理解したり、モルタルの調合量など現場に応じて調整できることも大切です。そういった事を理解していくと、自然と自信がでてきて仕事が楽しくなってきます。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer お客さまに、自分が張ったタイルを見てよい評価をされ、喜ばれることがうれしいです。石の乱張りをしたときにも、まさに芸術ですねって言われたことが思い出深くうれしかったです。そして、この仕事をしていると色々な職人さんと出会えます。そんな職人さん達と会話していると、たくさんの情報も入ってくるのでそれがよかったことでもあるし、この仕事の魅力の一つでもあります。
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