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和 裁 宮原 清志 みやはら きよし [蔦城和裁] 電気科卒の和裁士 宮原清志さんは、工業高校の電気科卒業の和裁職人です。「たいした理由じゃない。一人でできること、それにお金がかからずやれる仕事。自分の時間もほしいから…」という理由で、和裁の職を選んだと言いますが、これは謙遜でしょう。きっと、なにか心を突き動かすようなものを和裁に見いだし、「俺の道」と決めたからでしょう。そうでなかったら、和裁のコンクールで、数々の賞を受賞するほど、いい腕を持った職人になれるはずがありません。
プロフィール [PROFILE]
生年月日・・・昭和33年(1958年)4月12日
出身地・・・・・静岡市清水区
所在地・・・・・[蔦城和裁]静岡市清水区辻2―10―4

・昭和52年(1977年) 静岡県清水工業高等学校電気科 卒業
・昭和52年(1977年) 城北和裁専門学校 入学
・昭和56年(1981年) 城北和裁専門学校 卒業
・昭和56年(1981年) 城北和裁 和裁士として勤務
・昭和59年(1984年) 蔦城和裁(つたしろ)を開業

◆昭和60年(1985年)全国和裁技術コンクール(第30回仙台大会) 銅賞
◆昭和63年(1988年)全国和裁技術コンクール(第33回金沢大会) 銅賞
◆平成01年(1989年)熟練技能士全国競技大会 県代表
◆平成01年(1989年)静岡県技術競技大会 優秀賞
◆平成02年(1990年)熟練技能士全国競技大会 県代表
◆平成03年(1991年)静岡県技能競技大会 最優秀
◆平成17年(2005年)(社)全国技能士会連合会 全技連マイスター
全技連マイスターとは
全国技能士連合会が、職業能力開発促進法に基づき実施されている技能検定制度の特級・1級又は単一等級の試験に合格した技能士で、20年以上の実務経験と優れた技能及び活動実績を持ち、後進の育成並びに技能の伝承に熱心な技能士であると認定された方です。また、全技連マイスターが単なる名誉的な称号ではなく、現役として後進の指導などの活動に積極的に対応できることが重要な要件であることから、5年毎に更新を行っております。

・・・・・和裁とは・・・・・
和服を制作することやその技術のこと。和裁は和服裁縫の略語。
大正時代の頃までは、裁縫といえば和裁のことであったが、洋裁と区別するために、和服の裁縫のことを和服裁縫、または和裁と呼ぶようになった。現在「裁縫」という言葉は和裁・洋裁のどちらも含む総称である。裁縫のことを「仕立て」ともいう。
「運針3年、絎8年」
「運針3年、絎(くけ)8年」という格言のような言葉が和裁にはあります。

運針は表裏同じ縫い目に縫うこと、絎は布端を折り曲げて縫い目をなるべく表に出さないように縫うことです。どちらも、和裁の技能習得の基礎です。この格言からすると、一人前の和裁職人になるには、おおよそ10年かかることになります。宮原さんも和裁専門学校に入学した際は、約半年間、朝から晩まで、ただひたすら運針だけだったといいます。

作業としては単純です。指貫きを指にはめ、縫い針に糸を通し、生地に目を落として、ただひたすら縫い進む。取材中、宮原さんが運針をやって見せてくれましたが、布をほんのわずか軽やかに波打たせて針が運ばれます。わたしたちは意識を働かせることによって、ある行為をしようとします。職人の技はそうではなく、意識しなくても行為の自律性が働いて(無意識に)、思うとおりに進みます。職人の技とはこういうものなのでしょう。運針を長いあいだ訓練するのは、日本だけです。
『人民我師』
宮原さんは、『人民我師(じんみんわがし)』という四文字熟語が好きです。
自分のまわりにいる人は自分にとっての師匠である。という意味です。

和裁に限らず、同じ仕事に長年勤めつづけていると、考え方や技能・手法は確かなものになりますが、かえって固定観念におちいりやすくなってしまうのではないでしょうか。職人として、また人間としての幅が狭くなってしまってはいけない、自分へのいましめです。女子高で和裁を教えていたときも、生徒の質問や、生徒の独特な縫い方で、「高校生から教えられた」こともあったそうです。

職人気質というと、頑固で融通が利かないと思われがちですが、宮原さんは「柔軟な頭と素直に受け止めること。さまざまなことを注意してみる。感じること」をとても大事にしています。
「納まり(おさまり)」
宮原さんは、取材のなかで『納まり』という言葉をよく使いました。
建築では(建物の各部分で行われる)部材の合理的な取り付け具合のことを言います。
細部まできれいに整っている状態です。

振袖に代表される女性の和服はうつくしく華やかです。
それを生かすのが和裁職人の腕の見せ所です。縫い目が分からないように縫い上げます。柄がずれてしまっては、元も子もありません。生地と生地を縫い合わせる袖付けと生地と生地を縫い合わせる時の“きせ”もそうです。こういったことに集中して取り組み、着る人の体型にピッタリと『納まり』、柄も映える和服独特の美がかもし出され、着ている人のおくゆかしさも引き出すようになるのでしょう。

『納まり』は宮原さんのこだわりです。

※きせ(縫い代を片方に倒し、縫い目よりも奥に折り山をつくり、縫い目を隠すように折ること。この縫い目から折り山までを言う)
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 祖父が浴衣などをつくって着せてくれたし、着物がもともと好きだったからです。一度もやめたいと思ったこともないですね。反物の生地からかたちが整った着物にするところがこの仕事の魅力です。
Question   この仕事につくためになにが必要だと思いますか? Answer 根気が必要です。和裁は細かい作業が多いので、妥協しない精神が大切です、失敗したらつくりなおすぐらいの、強い心と良い物をつくるというこだわりが大切です。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer 自分がつくった着物がお客さまから、評価されるとうれしいですね。
最初から最後まで自分でつくることもたのしいです。
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