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広告美術 山口 美代治 やまぐち みよじ [アートスタジオ ヤマ] 「努力」「生涯勉強」を座右の銘に 東京で映画の看板を描きたい。山口美代治さんが中学校を卒業するときの将来の希望でした。そのためにまず地元・島田市の看板店に就職。6年後に映画看板の仕事を始めると、東京への夢はおさえがたく、一念発起して上京。腕を上げて、生まれ故郷の島田市に戻って独立しました。中学校卒業のときにいだいた夢にまっしぐらでした。山口さんは「努力」「生涯勉強」という言葉を座右の銘にしています。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和8年(1933年)10月18日
出身地……静岡県島田市
所在地……[アートスタジオ ヤマ]島田市中溝町1728-5

・昭和24年(1949年) 15歳で島田市 三好堂看板店 入社
・昭和29年(1954年) 静岡市七間町 映画看板制作ヤマダスタジオ
・昭和30年(1955年) 静岡市七間町 中西画房
・昭和31年(1956年) 東京都 日活直営館専属(株) 作画会 入社
・昭和36年(1961年) 静活作業所
・昭和48年(1973年) アートスタジオ ヤマ 設立


◆昭和62年(1987年) 第6回技能グランプリ 第1位 労働大臣賞
◆平成02年(1992年) 静岡県優秀技能者 静岡県知事賞
◆平成18年(2006年) 厚生労働大臣表彰「現代の名工」
◆平成19年(2007年) 黄綬褒章
「現代の名工」とは
卓越した技能者表彰制度に基づき、厚生労働大臣によって表彰された卓越した技能者(卓越技能者)の通称です。
卓越した技能者表彰制度は、技能者の地位と技能水準の向上を図るために、昭和42年(1967年)度に設けられたもの。表彰を受ける者は、都道府県知事や事業者団体などの推薦を受けた候補者の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いた上で、厚生労働大臣によって決定されます。

・・・・・・広告美術とは・・・・・ 
「広告美術」とは、分かりやすくいうと屋外に設置されている「広告看板」のことです。30年程前までは、映画館などの『絵を描く』看板と商店の看板などの『文字を書く』看板を中心としていました。
仕事内容は、文字・図柄等の構成・割付、美的な広告面の仕上げなどです。現在はコンピュータ化が進んでおり、パソコンを使用したデザイン制作が主流となりつつあります。
本業以外からもやる気をそそられたい
15歳で地元・島田市で映画看板の修行・見習いをはじめた山口さん。さまざまな経験を経て、昭和48年、生まれ故郷の島田市にアートスタジオ ヤマを設立、念願だった独立を果たします。目標に向かって脇目も振らず歩んできた山口さんの姿勢がうかがえます。

そして、山口さんは約20年前に『自遊苦楽部』という水彩画の愛好者のためのクラブを立ち上げました。
月に1回生徒さんに水彩画を教えています。看板にはレタリングも必要ですから、書道にも興味を持ち、書道師範代の資格も取りました。日頃からさまざまな展示会にも足を運びます。本もたくさん読みます。

本業のクオリティを高めるためには、本業以外のことから刺激やヒントを得て「やる気をそそられたい」と話します。このような日々のいいものを製作したいという努力が、作品の幅を広げ、作品の奥行きを深め、作品が人に訴えかけるものとなっていくのでしょう。
ニーズと景観にあわせたデザイン
看板は、景観の観点からしばしば批判の対象になっているようです。たしかに“目立つ”“人目を引く”“訴求力”は看板の要素として必要なことです。
しかし、人びとの眉をひそめさせてしまうようでは、看板ではなく、地域や場所のじゃまものでしかありません。山口さんは「まわりにある看板のデザインや建物の色調などと反発しないように、その場所の持つ景観に合わせることが、クライアントのニーズに応える大事な要素だ」と考えています。

そのためには、クライアントへ的確なプレゼンテーションをし、事前打ち合わせを重ね「地域の景観で問題をおこさない」ようにしています。たとえば信号機の近くの看板制作では、信号機の色と同調しないように配慮するなど、制作者とクライアントの自己満足をいましめています。長年、映画看板書きに従事し、水貼り画法に優れるとともに、絵画の画工法を究め、景観に即した美しい作品を世に送り出している山口さんだからこそ、看板も景観を構成する要素であると思っています。
「絵にはおわりはない」
山口さんのスタジオには、風景写真、写真集、雑誌類などがたくさん置いてありました。きっと、暇を見つけては身近にあるこれらをながめては自分の創作の糧(かて)にしているのでしょう。

「絵にはおわりはない」と山口さんは言います。描きたいテーマや対象が不意に湧き上がってくるかもしれません。そうなった時、いつでも筆が取れるようにしておくためにも、普段から心構えを整えておくのでしょう。「興味を引かれた女優さんを見ると無性に描きたくなって、気づいたら筆を握っていた」ことが何度もあるそうです。

「広告美術」が本業の山口さんの作品は、横尾忠則や宇野亜喜良、ロートレックのような作品とは一線を画すものですが、人びとの心に「刺激」と「感動」をあたえる点では、美術の創作者として底に流れる想いはおなじく熱いものといえるかもしれません。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 幼いころから、絵が好きでした。映画も好きだったのですが、当時の映画は高価だったので、映画看板の仕事をすると無料で見られるしね…(笑)。自分で描いた絵を見てもらいたい、そしてよい看板の絵を描けば映画館にお客さんが入る。でも、描けなければ客足は伸びない。その直接の反応からよい緊張感をもらいました。
Question   この仕事につくためになにが必要だと思いますか? Answer やる気がとても大事です。デザイン力とよいアイデアを出す能力があれば、絵をあまり上手に描けなくても関係ないです。とにかく、やる気といろいろなことに興味と好奇心をもって、動くことがとても必要になってきます。趣味をもつことも大事です。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer よい絵を描けば、お店にお客さんがたくさん入る。それを見るとうれしいです。自分が描いた絵が評価されているんだな、と思ってしまいます。自分の好きな仕事をずっとつづけられたことが、なによりうれしい。
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