静岡県内で、ものづくりに携わる職人・技能者や関連イベントをご紹介
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機械木工 佐藤 楠進 さとう なんしん [ヤマハリビングプロダクツ株式会社] 気持ちを込めてよいものを作りたい 現在のピアノ製造は、さまざまな工程にロボットが導入され正確に加工され組み立てられます。ここに人の手による微妙な調整・仕上げが加わらないと、世界の著名なピアニストによって愛され、演奏されるような高品質のピアノにはなり得ません。佐藤楠進さんは、木の精密機械と言われるピアノの外装部の製作に、鋭い感性と熟練した技術・技能の冴えをみせて、長年たずさわっています。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和18年(1943年)9月30日
出身地……静岡県浜松市東区下石田町
所在地……[ヤマハリビングプロダクツ株式会社]
        静岡県浜松市西区西山町1370

中学校卒業後、職業訓練校で木工を学び、河合楽器新居工場に入社。
昭和36年(1961年) 日本楽器(YAMAHA)入社。

◆平成14年(2002年) 厚生労働大臣賞・卓越した技能者「現代の名工」
◆平成16年(2004年) 黄綬褒章
◆平成20年(2008年) 静岡県技能マイスター
現代の名工とは
卓越した技能者表彰制度に基づき、厚生労働大臣によって表彰された卓越した技能者(卓越技能者)の通称です。
卓越した技能者表彰制度は、技能者の地位と技能水準の向上を図るために、昭和42年(1967年)度に設けられたもの。表彰を受ける者は、都道府県知事や事業者団体などの推薦を受けた候補者の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いた上で、厚生労働大臣によって決定されます。

・・・・・機械木工とは・・・・・
木材加工機械による木材の加工に必要な技能。
木製品やその部品などを、機械を使って量産する仕事をします。機械木工の仕事は「図面を読む」ことから始まります。図面をよく読み込んで試作をします。まず、どんな木材からどんな形を切り出すかを決める「木取り」をします。無駄が出ないように、上手に切り分けるのがポイントです。次に「刃物選び」です。木工機械は種類が多く、取りつける刃物にも、多くの種類があります。最適の刃物を選ぶことが重要です。試作で加工の段取りが出来たら、正確な寸法が出るよう機械の微調整をして、量産に移ります。同じ形のものを、正確に数多く作り出す機械木工の技術は、木工品の普及に欠かせないものです。
人材育成にも力注ぐ
「2007年問題」という、団塊の世代の退職者がもっとも多く発生することによって、マニュアル化しづらい、その現場固有の技術や技能の継承が困難になる状況が生じるのではないかと、危ぶまれたことがありました。
佐藤さんは、団塊の世代ではありませんが、自分の持っている技術や技能を会社や次の世代に残したいと、危機感を持ったはずです。佐藤さんは後輩の育成に力をそそいできました。

現在のヤマハリビングプロダクツの施設管理グループに籍を置くようになったのは、65歳のときからでした。ここで、家具や浴室、キッチンや洗面台などの製造現場にたつかたわら、機械木工技能士の検定試験を受ける後輩たちのために、熱心に指導をしています。日本は世界に誇るものづくり大国です。これを支えてきたのは、職人的作業にたずさわり、技を磨き、高品質の製品を生み出してきた佐藤さんのような人々であり、日本の経済成長を可能にした人々でもあります。「2007年問題」は取り越し苦労におわりました。これも、佐藤さんたち技能者が、後進に技術や技能をしっかり受け継がせたからこそだった、と言えるのではないでしょうか。
次の工程も考えた完璧な作業
佐藤さんは、ピアノづくりでも、家具づくりでも次の工程のことを考えて作業することを大事にしています。
佐藤さんたち機械木工の作業は木を切り削ったりする加工と組立てですが、つぎは完成品としてのうつくしさを左右する、塗装の工程が控えています。
佐藤さんがたずさわってきたピアノや家具の製品に使われるおもな塗装に、オープン塗装とポリエステル塗装があります。オープン塗装は、本来の木目を見せるために1工程だけ塗装します。これに対してポリエステル塗装は、塗装してはペーパーヤスリをかけ、また塗装するといった工程を3回ほど繰り返します。塗装方法によって、塗装の厚さにちがいが出ます。これを配慮して、木を削り組み立て方を調整します。その調整は、0.5mm〜0.8mm、髪の毛1本ほどです。そうしないと、でき上がった製品の、たとえばふたが閉まらなかったりするという、不具合が発生してしまうかもしれません。
佐藤さんは、「すべて完璧な状態で、次の工程に渡すこと」を自分のこだわりの一つにしています。
見栄えのよさは製品のよさに
物のフォルムのうつくしさは、その物の価値を決めてしまいます。どんなに丁寧につくっても、美が表現されていなければ、わたしたちは、そのものから目をそらしてしまいます。
見栄えというと表面的なことと思われがちですが、これは物(製品)の内面から浮き出てくるものではないでしょうか。うつくしいものが結局は、使いやすさや愛着にもつながります。
佐藤さんは、新しい製品をつくるとき、サンプルづくりにも集中して臨みます。納得するまで、何度でも何度でもつくるそうです。材料の吟味も忘れません。佐藤さんがつくってきたピアノや家具の素材は木です。自然乾燥させたり、一定の温度に保たれた乾燥室で入念に乾燥させた木の中から上質な木を、佐藤さん自身が選び抜いて加工していきます。乾燥と言いましたが、接着剤を使って木を組み立てていくときは、湿度がポイントになるようです。
「空気中の湿度が30%〜40%くらいがもっとも接着には適しています。木は乾燥や湿度によって伸縮するので、そのバランスも考えて、0.1mm単位で調整して組み立てています」いったい0.1mmとは、人の目や指先の感覚で分かるものでしょうか。これこそが職人技です。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer ものづくりが好きだったから、この仕事につきました。65歳になったときに、木工ができる人材を育成してほしいと会社から言われました。自分が今まで長年培ってきた経験と知識が人の役にたてばいいと思ったのがきっかけです。
Question   この仕事につくためになにが必要だと思いますか? Answer ものづくりが上手になるには、意欲が大切です。意欲があれば、多少の不器用さはカバーできます。目標や目的をもって、がんばれば自然とじょうずにできるようになってきます。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer 長年仕事をつづけてきて、いろいろな賞をいただけたことがうれしいです。この仕事のお陰で自分にものづくりの技術が身につきましたし、知人からちょっとした家具などをつくってほしいと頼まれることもうれしいですね。好きな仕事を長年つづけられて、本当によかった。
Question   この仕事の魅力 Answer 自分で考えたものが形になることです。なにもないところからものができる喜びがこの仕事の魅力です。よい物ができれば、次にはもっとよい物をつくりたいと思う向上心をもてることも魅力の一つです。
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