静岡県内で、ものづくりに携わる職人・技能者や関連イベントをご紹介
  1. HOME静岡県ものづくり人材図鑑 > 職人・技能者
宮大工 澤元 教哲 さわもと みちのり [株式会社 天峰建設] 何百年も先を見据えた建築 世界最古の木造建築・法隆寺西院伽藍。世界最大の木造軸組建築・東大寺大仏殿。日本は、世界有数の木造建築の国です。大工の職種にも、宮大工と呼ばれる社寺・仏閣を専門に建築する大工がいます。宮大工の棟梁・澤元教哲さんは「むかしの建築技術のすばらしさをいまに受け継ぎ、これからもずっと残していく。数百年たってもびくともしない建築をこれからも建てつづける」ことを、使命にしています。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和33年(1958年)3月3日
出身地……旧・磐田郡水窪町(現・浜松市天竜区)
所在地……[株式会社 天峰建設]袋井市横井115-3

中学卒業後、1年間森高等技能専門学校建築科で学ぶ。18歳の時、磐田市鎌田の鎌田明神宮の大遷宮にたずさわり(同社では60年ごとに社殿造営)宮大工をこころざす。

◆平成15年(2003年)厚生労働大臣認定の卓越技能者「現代の名工」
◆平成16年(2004年)黄綬褒章
◆平成20年(2008年)静岡県技能マイスター認定
「現代の名工」とは
卓越した技能者表彰制度に基づき、厚生労働大臣によって表彰された卓越した技能者(卓越技能者)の通称です。
卓越した技能者表彰制度は、技能者の地位と技能水準の向上を図るために、昭和42年(1967年)度に設けられたもの。表彰を受ける者は、都道府県知事や事業者団体などの推薦を受けた候補者の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いた上で、厚生労働大臣によって決定されます。

・・・・・宮大工とは・・・・・
宮大工とは、お寺や神社、おみこしなど、日本古来の木造建築を手がける大工の事です。材料は大きく高価な木材が多く、新築工事だけではなく貴重な文化財の解体修理も受け持つ、責任の重い仕事です。
木を見極める
法隆寺や大仏殿を建立した当時の大工も、どのような木を建築物のどこにどう使うか、慎重に見極めたにちがいありません。そして、建築物は特定の地域に建てられます。そこにはその地域特有の風土があり、風土に適応した樹木が育っています。その地域にかなった建築にするために、地元の木を使うのは理にかなっています。澤元さんも「地元の木材が地元の風土にいちばん合う。だから地元の木を使う」ことにこだわっています。

澤元さんの話を聞いてみましょう。「おなじ山であっても、日当たりのちがいによって、建築物に使う場所が変わってくる。山の南東に育った木は、建物でもやはり南東にもってくる」「伐採した木は強制的に乾燥させると、粘りがなくなって、木が本来持っている特徴が失われてしまう。自然乾燥が大事だ」「伐採時期も、秋場の新月の3日前あたりが水分の含有も少なく、木材に適している」

大工に仕事の第1歩は、木を見極めることです。
時代性、地域性も加味して
伝統的な社寺建築といっても、やはりいまの時代性、地域性は無視できません。そうでなければ建物自体が異空間のようにその場所から切り離され、浮き上がってしまいます。立地条件や自然環境、地域性とどのように折り合いをつけるか、建築の前提条件として考えなければならない課題です。

澤元さんも「時代が大きく変化し、地域も変貌していく過程で、社寺建築もその変化に対応していかなければなりません。建替えの前には、既存のものをよく調べ、周辺地域や環境の調査は必要不可欠です」と強調しました。

これらを元にして、社寺建築本来の伽藍の配置、山門からの伽藍の遠望、また、訪れた人たちが、社寺の荘厳さや奥深さが感じられ、魂の安堵感、安らぎの場所となるような建築になればと、澤元さんは願っています。
伝統精神も継承
社寺建築特有の屋根の曲線は「糸だるみ線」という技法が用いられます。
棟から下方に緩やかに流れ下るスカイラインです。
これは日本人の美的感覚によって洗練されたものですが、降った雨が早く流れ落ちるように設計されています。用と美の一致です。スキーのジャンプ台にも採用されているそうです。

神社・仏閣は100年、200年と世紀をこえて建ちつづける建築です。この建築物にたずさわる宮大工もまた、新しい世代に、技術だけではなく民族の伝統精神も、受け渡していく、職人集団と言えるのではないでしょうか。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 18歳のときに鎌田神明宮の60年に1度の大遷宮にたずさわったのがきっかけとなりました。自分がつくったものが、後世に残る魅力を感じ、宮大工にすすむことになりました。
Question   この仕事につくためになにが一番必要だと思いますか? Answer 感性ですね。勉強だけ出来てもダメ。こどものころから興味のあるものに精通させる。そして太陽の下でよく遊ぶ。自然から学ぶことはたくさんあります。そしていろんなことに好奇心を持つことが大切です。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer 感謝状をいただいたこと。
仕事仲間とお施主(建築主)さんと感動し合えることが嬉しい。
いい物をつくりお互いが感動できたとき。やはり感動がないと仕事じゃないですから。
Question   『夢と感動をかたちに変えて』 Answer 節のある木は柱に使われます。節があると割れにくいからです。本物を使うことが、長い年月の重みに耐えうる建築物となるわけです。澤元さんは、社寺建築の建替えのとき、現行の建築基準法に適合したものにするのはもちろんですが「できるだけ、創建当時の技術そのままでつくる」ようにしています。天峰建設の社風は『夢と感動をかたちに変えて』です。日本の伝統技術のすばらしさを、後世に残すことを使命とし、宮大工という仕事にプライドと誇りを持っています。
上へ戻る
一つ前へ戻る
各ページ掲載の写真・音声・CG及び記事の無断転載を禁じます。
Copyright © 2011 静岡県ものづくり人材図鑑. All Rights Reserved.