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鬼 瓦 師 名倉 孝 なぐら たかし [立川流 鬼秀4代目] 仏様を守る 鬼瓦は、大棟(おおむね)や降り棟(くだりむね)の端に用いられる飾り瓦です。だから名倉孝さんは「仏様より上にいて、仏様を守るから、品性と神々しさがなにより大事」と思っています。それに「鬼瓦への想い」も加わって、信念どおりの良質な鬼瓦をつくりあげます。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和9年(1934年)2月11日
出身地……静岡県浜松市
所在地……袋井市堀越

中学卒業後、楽器製作所(ピアノ調律)に就職。半年後、父の仕事である「鬼秀」を継ぐため、家業に戻り、5年間鬼瓦の製作を修行。22歳の時、森町の遠江(とおとうみ)窯業で瓦職人の修行を7年間。昭和33年、3代目鬼秀のもとで本格的に鬼瓦製造の修行に入る。

◆平成12年(2000年) 静岡県産業振興知事褒賞
◆平成13年(2001年) 厚生労働大臣表彰 卓越技能章「現代の名工」
◆平成14年(2002年) 黄綬褒章
「現代の名工」とは
卓越した技能者表彰制度に基づき、厚生労働大臣によって表彰された卓越した技能者(卓越技能者)の通称です。
卓越した技能者表彰制度は、技能者の地位と技能水準の向上を図るために、昭和42年(1967年)度に設けられたもの。表彰を受ける者は、都道府県知事や事業者団体などの推薦を受けた候補者の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いた上で、厚生労働大臣によって決定されます。

・・・・・鬼瓦師とは・・・・・
鬼瓦を作る職人のこと。
鬼瓦(おにがわら)は和式建築物の棟(大棟、隅棟、降り棟など)の端などに設置される板状の瓦の総称。略して「鬼」とも呼ばれる。厄除けと装飾を目的とした役瓦の一つ。
『鬼面仏心(きめんぶっしん)』が座右の銘
名倉さんは、鬼瓦師「鬼秀」の4代目です。
『鬼面仏心』が座右の銘です。「鬼のなかにも、仏の心はある」が意味です。
名倉さんのつくる鬼瓦は、やさしくてしかも強い表情が見て取れます。むかしから伝わる製作手法、材料となる粘土の特性、鬼面に対する想いを充分に理解し、自分のものにしてつくってこそ、『鬼面仏心』の鬼瓦ができあがると言います。

製作過程は以下のとおりです。粘土を土練機(どれんき・土を練る機械)に入れ、粘りを出し、同時に空気を抜く土練り、紙を使って図面(半面)を描いて立体づくり、ヘラで光沢と筋彫りをしながら仕上げ、最後に焼きを上げ―といった工程です。一つひとつの工程を大事に、細心の注意を傾けているからこそ、寺院の屋根の棟の先端に飾られて、仏様に見合った優しさと強さのあるお顔になるのでしょう。
丈夫でうつくしい鬼瓦づくりの極意
「窯はいのち、と言っても過言ではない」と名倉さんは力を込めて言いました。

大事な大事な工程です。鬼瓦の素材となる粘土には、結晶水という水分が含まれています。この水分を完全に抜くのは言うほど簡単ではありません。名倉さんは、3日間かけてゆっくり焼いていきます。窯の火加減の気配りがもっとも肝心です。はじめは、ガス圧を低く弱火で、それから徐々に強くしていきます。2日目からは、数時間ごとに火を調整します。もっとも火力を強める時は、土によってちがいはありますが、約1100度にもっていきます。

この細心の温度調整が、丈夫でうつくしい鬼瓦づくりの極意、秘訣だと言います。
名倉さんと粘土のなかの水とのせめぎあいです。
一に土、二に窯、三に職人
名倉さんは、先代からよく言われたことをいまも忘れていません。「金のことは考えるな。考えるといい仕事はできない」鬼瓦師として必要なことは『一土、二窯、三職人』とも言います。

どんなにいい窯、腕の立つ職人でも土が悪ければいい鬼瓦はできません。
名倉さんは、地元の肌理(きめ)細かな土や三州の土などを使うことで土から光沢を引き出します。土を見分ける眼力がものをいいます。どんなにいい土でつくっても窯の火加減をおこたると、色も悪く割れやすくなってしまいます。火をあやつる腕が必要です。いい土と窯をそろえても、作業する職人の技、鬼瓦に対する技術や技能、意識が低ければ、なんともなりません。名倉さんが現代の名工となったのも三拍子がそろったからです。

名倉さんは、平成元年から袋井市内の小学校などで、鬼面(きめん)や表札づくりなどを教えています。名倉さんの的確な指導のおかげで子どもたちは皆、作品を作りあげることができたそうです。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 親戚にすすめられたのがきっかけです。それと、家が代々つづく鬼瓦師だったこともこの仕事をやるきっかけでもありました。仕事を始めて、最初につくった菊水という作品を父から認められたときはうれししかったし、さらに精進するきっかけにもなりました。
Question   この仕事につくためになにが一番必要だと思いますか? Answer いい材料と、鬼瓦師としての技術と知識。いい鬼瓦をつくるために、よく考えこだわりを持って丁寧に仕事をすることです。いい物をつくるためには、伝統を大事にしながらより良い鬼瓦をつくるための努力が必要です。
Question   この仕事をしていてよかったことは何ですか? Answer 毎回鬼瓦ができることがうれしいです。そして、鬼瓦をお客さまにお渡しすることがなによりもうれしい。それを評価されることもうれしいです。こうして、いままで長くつづけられて多くの賞もいただけるようになったのも、妻の支えがあったからこそです。
Question   ≪作品のご紹介≫ Answer 遠州鬼瓦
名倉さんは、いままでだれもつくったことがない『笑う鬼』をつくりました。魔除け、厄除けはもちろんのこと「笑う鬼なら福も招く」ようにつくったそうです。意表をついています。
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