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タイル張り 太田 左武朗 おおた さぶろう [太田タイル工業所] 震動に強いタイル張り 太田左武朗さんは、東海道新幹線の新富士駅(和63年3月開業)のホームを震動に強いタイル張りで完成させました。強度とうつくしさを実現させたこの施工で、多くの賞を受賞しました。また、東京都港区赤坂にある迎賓館赤坂離宮の平成18年の大改修に際してもタイル張りにたずさわりました。現在、静岡県技能士会連合会の会長を務めています。
プロフィール [PROFILE]
生年月日…昭和11年(1936年)1月6日
出身地……東京都江東区
所在地……[太田タイル工業所]富士宮市若の宮町587

中学校卒業後、自転車の修理業に就職したが、5年後、タイル業を営む生家でタイル張りの修行を始める。37歳で富士宮市に太田タイル工業所を設立。

◆平成18年(2006年) 厚生労働大臣認定 卓越技能者「現代の名工」
◆平成18年(2006年) 黄綬褒章
◆平成18年(2006年) 旭日双光章
◆平成18年(2006年) 静岡県技能マイスター
「現代の名工」とは
卓越した技能者表彰制度に基づき、厚生労働大臣によって表彰された卓越した技能者(卓越技能者)の通称です。
卓越した技能者表彰制度は、技能者の地位と技能水準の向上を図るために、昭和42年(1967年)度に設けられたもの。表彰を受ける者は、都道府県知事や事業者団体などの推薦を受けた候補者の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いた上で、厚生労働大臣によって決定されます。

・・・・・タイル張り職人とは・・・・・
タイルといえば形状は隙間無く敷き詰めるため正方形や長方形など四角形が多いが、不規則な形状のものもあります。材質は一般的に陶磁器製のものを指すことが多い。色彩も様々で、一枚一枚に模様があるものや、色の違うものを多数並べることで大きな絵とする場合もあります。通常、タイルは一枚一枚接着剤・モルタル・金物によって固定され、非常に手間がかかり、施工技術も要求されます。
これらの作業を行う特殊技術をもった人たちをタイル張り職人といいます。

タイルの特殊なものとしては、スペースシャトルなどの宇宙船の外装に使用される耐熱タイルがあります。
大きな揺れがきても割れないタイル
新富士駅を作ったときの一番のこだわりは、左官屋さんが作ったコンクリートの上にモルタルをひいてその上にタイルを張ったそうです。モルタルというのは、セメント1に対して砂が4の割合で作られたものだそうです。ちなみに、コンクリートはセメント1に対して砂が3そこに砂利を6の割合で混ぜ合わせます。

モルタルとコンクリートは接着しにくい性質があるので、新幹線の振動でコンクリートが強く揺れても、モルタルとの間にはアソビがあるので、モルタルから上はあまり揺れない様になるそうです。またタイルとタイルの間隔も通常より広くし、振動の力が分散される様に工夫をしたそうです。

その結果、大きな揺れがきても割れないタイルが完成したと太田さん言います。万が一コンクリートが割れてもモルタルとその上のタイルは割れないと言います。これをきっかけに厚生労働大臣認定の卓越技能者「現代の名工」の賞を頂いたそうです。
緻密なレイアウト力が必要
タイル張りは、壁の表面に浮き上がらず平面的にしかも、目地部分もそろえて、張りつけていきます。縦と横が真っ直ぐにしかもきれいに仕上げなくてはなりません。与えられた面積のなかに割り付けていくのが、タイル張り職人の腕の見せ所です。これを、タイル割りと言います。もちろん、太田さんもここにこだわっています。

タイル割りの手順は、寸法(墨出し)をはかり、一つのタイルの大きさと目地の太さを含めて計算します。これをもとに全体を計算していきます。それからが実際の張り付けの作業です。たとえば、タイルを壁と床の両面に張るとします。タイルの大きさや壁と床の目地が真っ直ぐにつながるようにします。緻密なレイアウトが必要で「勘に頼ってはダメだ」と太田さんは言います。

目地の太さも1mmくらいの空間を持たせることで、目地に融通をきかせます。こういった調整によって、気温によって変化する壁の伸縮にも耐えられるはがれないタイル壁になります。太田さんは「地域の環境や張った箇所にもよるが、完璧に施工すれば40年は優に持つ」と言います。
表舞台に出る気持ち
タイル張りの魅力を太田さんは「壁の表面を仕上げること、つまり表に出ることだから、表舞台に出ている気分」と表現しました。つづけて「表舞台に出ることで、常に緊張感はありますが、きれいな仕上げに、お客さまの喜んでいる声を直接聞けることも魅力の一つだね」お客さまが、じかに触って太田さんと一緒によろこんでいる様子が目に浮かびます。

太田さんにもつらいきびしい修行がありました。タイル張り職人をこころざして3年間くらいは、親方に怒鳴られたりして、やめたいと思ったこともあったそうです。一流の職人は、そこでめげなかった人です。太田さんもそういった職人です。まわりから仕事を評価されるようになるまでには、仕事への一途な姿勢がやはり必要なのでしょう。
インタビュー [INTERVIEW]
Question   この仕事を始めたきっかけはなんですか? Answer 中学校卒業して自転車の修理屋で働いていましたが、時代は自転車からオートバイへの転換期でした。自転車修理だけでは食べていけないと思い、父親がタイル張りの仕事していたのがきっかけで始めました。
Question   この仕事につくためになにが一番必要だと思いますか? Answer お客様によろこんでもらえるように意識して仕事することが大切です。それには、きれいに仕上げることと、柔軟性をもって仕事をすることが必要です。お客さまにもじかに接するので、人柄も大切になってきます。決して簡単な仕事ではないので根気も必要です。
Question   この仕事をしていてよかったことはなんですか? Answer 東京赤坂にある迎賓館の大規模改修にたずさわれたことがよかった。この建物は、長い間受け継がれていくので、自分が施工したところも同時に残っていくのでうれしいですね。後世に残っていくということで、誇りが持てます。
Question   東海道新幹線「新富士駅ホーム」 Answer 東海道新幹線新富士駅のホームのタイル張りは、幅3m、延長420mでした。ホームを建物の2階に設けたため、新幹線が起こす振動への対処が課題でした。振動でタイルがはがれたり割れてしまう可能性が考えられました。そのため、目地の間隔を10mmと通常よりもかなり幅広にとってタイルのあいだに余裕を持たせ、振動による衝撃をやわらげる工夫をほどこしました。また長さが420mもあったため、真っ直ぐなラインにするために、3m四方を1区画としてタイルを張りすすめました。10人体制で半年をかけて完成させました。
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